所有しているブロンプトンM6Rを、シマノのALFINE(アルフィーネ)8速ハブを使って内装8速化しました。
もともとのM6Rは、Sturmey-Archer(スターメーアーチャー)の内装3速と外装2速を組み合わせた6段変速です。

この純正6速もギアレンジ自体には大きな不満はなかったのですが、内装と外装を組み合わせて変速する独特の操作には以前から少し面倒さを感じていました。
そこで今回、思い切って内装8段変速へ変更しました。
使用したのはシマノのALFINE 8Sです。

ただし、ALFINEはブロンプトンへそのまま取り付けられるハブではありません。ハブの幅が純正よりかなり大きいため、今回はリアフレームのエンド幅を拡張し、さらにハブ側にも機械加工を施して取り付けています。
そのため、いわゆるポン付けのカスタムとはまったく異なります。リアフレームそのものに手を加えているため、簡単に純正状態へ戻すこともできません。
ブロンプトン本来の構造を大切にするという意味では、かなり「邪道」なカスタムかもしれませんが、実際に乗ってみると想像していた以上に自分好みのブロンプトンに仕上がりました。
なお、加工や組み付けはすべてお願いしてやっていただいたものです。そのため、この記事では具体的な加工方法ではなく、使用したパーツや完成後の仕様、実際に乗って感じた違いを中心にまとめています。
ALFINE 8速化に使用したパーツと費用
まずは今回の内装8速化に使用したパーツと、実際に購入したときの価格です。
| 品名 | 型式 | メーカー | 数量 | 金額 (円) |
|---|---|---|---|---|
| 内装8段変速ハブ | ALFINE 8S (ISGS70018AS) | シマノ | 1 | 19,380 |
| シフター | ALFINE 8S (SL-S7000-8) | シマノ | 1 | 5,119 |
| スモールパーツセット | ALFINE 8S (SM-S7000-8) | シマノ | 1 | 1,721 |
| まわり止めワッシャー | Y33Z20200 | シマノ | 1 | 517 |
| スプロケット | 16T (Y32203220) | シマノ | 1 | 779 |
| リム | CR18 16WO 36H | SUNringle | 1 | 7,700 |
| スポーク | 265mm | SAPIM | 36 | 2,520 |
| ニップル | 64 | 1,280 | ||
| リムテープ | 18mm | SCHWALBE | 1 | 770 |
| BB | TK868TBT (122.5mm) | TOKEN | 1 | 16,180 |
| チェーンリング | 54T | BROMPTON | 1 | 5,000 |
| チェーン | CN-HG93 (9S) | シマノ | 1 | 3,080 |
| シフトケーブル | SP31スペシャルステンレス シフトケーブル シマノ用 | 日泉ケーブル | 1 | 1,650 |
| シフトアウター | 4mmステンレス シフトアウター2m | 日泉ケーブル | 1 | 1,760 |
| リアハブナット | simm10 | ブリジストン | 1 | 712 |
| ベル | OH-2400 | キャットアイ | 1 | 684 |
| 合計 | 69,892 |
パーツの総額が69,892円でした。
これは2025年末時点での支払金額なので、値上がりしている可能性があります。コロナ禍のころと比べたらかなり落ち着いてきたとは思いますが、じわじわと値上がりが続いていますからね。
また、リムやBBなど、一部こだわって選定したものもあります。これらのパーツをコスト重視で選定すれば総額をもっと抑えることは可能です。(パーツにもよりますが2万円ほど低減することも可能です)
これはあくまでパーツ代のみなので本来であれば作業工賃というのが発生するので、トータルで10万円を超えるカスタムになるはずでした。
ただ、今回のカスタムをお任せした方から「趣味の一環なのでカスタム費用はいりません」というとんでもないありがたくもあり申し訳なくもあるお言葉をいただきました。
結局そのご厚意に甘えさせていただくことにしましたので、なんと工賃は0円でした。
鮪さん、IKEROさんこの場を借りて改めてお礼申し上げます!
ALFINE 8速化したブロンプトンの仕様
リアエンド幅を112mmから約125mmへ拡張

今回のカスタムで最大のポイントとなるのがリアフレームです。ブロンプトンの純正リアエンド幅は約112mm。一方、ALFINEは135mmなので、そのままでは到底収まりません。
そこで専用治具を使って、リアエンド幅を約112mmから約125mmまで拡張しています。
それでもALFINEの135mmには届かないため、さらにハブ側にも機械加工を施して125mmに収まるようにしてあります。完成した状態だけを見ると非常に自然なので、これだけ大掛かりな加工が行われているようには見えません。
ただし、当然ながらリアフレームは変形させているため、基本的には元へ戻せません。
将来的に純正仕様へ戻したくなった場合は、リアフレームそのものを交換することになります。
純正へ戻すことが前提であれば、中古のリアフレームを買ってそれを加工するという方法もありだと思います。
リアホイールは28Hから36Hへ変更

ALFINE化に合わせて、リアホイールも組み直しています。純正リムは28Hですが、今回は36Hへ変更しました。
ハブが大きくなるため、スポーク数を増やして強度を確保した方が良いとのことで36Hを選択しています。リムにはSUNringle(サンリンゲル)のCR18 16WO 36Hを使用しました。
ALEXRIMSのDA16というコストパフォーマンスの高いリムも候補でしたが、新品がほとんど流通しておらず入手できなかったためCR18を選んでいます。
もともと所有しているM6Rはブラックエディションなので、純正ホイールもブラックで統一されていました。しかし今回入手できたALFINEハブがシルバーだったため、それに合わせてホイール全体もシルバーで組んでもらいました。
結果的にはこれがかなり気に入っています。
シルバーのハブとリムに36本のスポークという組み合わせが、少しクラシカルな自転車のホイールのような雰囲気になりました。
ブラックエディションの車体との組み合わせも思っていた以上に似合っています。
ワイヤリングも純正とは大きく異なる

純正のSturmey-Archer内装3速とALFINEでは、変速機構そのものも異なります。
Sturmey-Archerではインジケーターチェーンがシャフト内に入っていますが、ALFINEはシフトケーブルによってハブ外側の機構を回転させて変速します。
そのため、シフトケーブルの取り回しも純正とは異なります。それでも完成状態では非常に自然に収まっており、折りたたみにも支障はありません。
ただ、リアホイールの脱着方法は純正とは異なります。出先でパンクした場合などに困らないよう、一度自分で脱着を練習しておいた方が良さそうです。
ALFINE専用シフターを装着
シフターにはALFINE用のSL-S7000-8を使用しています。
ブロンプトンは折りたたんだ際にブレーキケーブルやシフトケーブルが干渉しないよう、一般的な自転車と比べてブレーキレバーなどをかなり急な角度で取り付けます。
純正シフターは当然その角度を前提として設計されているため、ギアポジションを示すインジケーターも問題なく確認できます。
しかしALFINEのシフターはブロンプトン専用品ではありません。

ブロンプトンに合わせた角度で取り付けると、インジケーターが見えない位置になってしまいました。インジケーターは見えるに越したことはありませんが、実際に使ってみると個人的には特に困っていません。
画像はミニPハンドルですが、Sハンドル/Mハンドルでももちろん取り付け可能です。※ミニPハンドルについては別の記事で紹介します。
ALFINE 8速化したブロンプトンの実走レビュー
ALFINE 8速のギア比

ALFINE 8速化で最も大きく変わったのが、当然ながらギアです。
ブロンプトン純正6速は十分なギアレンジを持っていますが、2速と3速、4速と5速の間が比較的大きく開いています。普段はそれほど気にならなくても、長距離を走って疲れてくるとこの差が意外と脚に効いてきます。
「今のギアでは軽すぎるけど、一つ上げると重すぎる」
という状況が発生します。
以前はチェーンリングを純正より小さい44Tへ変更していたため、一般的な純正6速よりも全体的にローギア寄りの仕様にしていました。
今回のALFINE 8速では54Tのチェーンリングと16Tのスプロケットを使用しています。この組み合わせが、以前使っていた44T+純正6速とかなり近いギアレンジになりました。つまり、
以前とほぼ同じギアレンジで8段に細分化できた
ということになります。

これが想像以上に快適でした。
極端にハイギア寄りにもローギア寄りにもなっていないので、以前とほぼ同じ感覚で走れます。それでいてギア間の差が小さくなったため、そのときの速度や脚の状態に合ったギアを選びやすくなりました。
同じ道・同じ距離を走っていても疲れが少ないのを実感できます。
P Lineの外装4速との違い

P Line純正4速のギア比と比べると、おおむねALFINEの4~7速あたりと同じような範囲になります。ただし、P Lineは外装4速なのでフィーリングはまったく違います。
軽快さという点では、やはりP Lineの外装4速が上です。
ALFINEにはALFINEの良さがありますが、内装8速にしたからすべての面で外装変速より優れているというわけではありません。
内装ハブの回転抵抗は気になるのか

内装変速ハブのデメリットとしてよく挙げられるのが回転抵抗の大きさです。
ハブ内部に複数の歯車が入っており、その組み合わせによって変速しているため、構造上どうしても抵抗が発生します。実際、リアホイールを浮かせて空転させてみると、外装変速との違いはかなりあります。
ただ、普通に走っている限りではさほど気になるほどではありません。むしろ違いを感じるのは、抵抗そのものよりペダルから後輪へ力が伝わる感覚です。外装変速はペダルを踏んだ力がそのままリアへダイレクトに伝わっているような感覚があります。
それに対してALFINEは、少し角が取れたような滑らかな感覚です。
これはどちらが良いというより好みかなとは思いますが、やはり外装の方が軽快であることは間違いありません。
約1kgの重量増加
ALFINE化で避けられない大きなデメリットが重量です。
ハブ単体では、
- 純正ハブ:約0.69kg
- ALFINE 8S:約1.67kg
と、約1kgの差があります。
自転車で1kg増えるというのはかなり大きな違いです。ところが実際に走ってみると、意外にも「重くなった」とはあまり感じません。
むしろリア側の重量が増えたことで、以前より安定感が増したようにも感じます。かなり極端なたとえですが、軽自動車と普通車の違いのような感じです。ただし折りたたんで持ち上げると話は別です。
これは明らかに重くなりました。
M6Rはもともと軽いモデルではありません。さらに約1kg増えると、輪行時の負担はかなり大きくなります。
今回はもともとリアラック付きのM6Rだったため、カスタムと同時にリアラックを撤去しました。その分、ALFINEによる重量増を多少相殺できていますが、それでも完成後の重量は12.8kgになりました。


13kg近い折りたたみ自転車を持って駅構内などを移動するのはかなり大変です。ストラップを使ったとしても身体への負担は大きく、輪行性能を重視する人には向かないカスタムだと思います。
最大のメリットは変速操作の簡単さ
実際に乗り始めて最も大きなメリットだと感じたのが、変速操作が圧倒的に簡単になったことです。
ALFINE 8Sでは、右側のシフターだけで1速から8速まで順番に操作できます。普通の自転車では当たり前のことですが、ブロンプトン純正6速から乗り換えると、この違いが非常に大きく感じます。
ブロンプトン純正6速は、内装3速 × 外装2速の組み合わせです。内装3速はギアがかなりワイドなので、そこへ外装2速を組み合わせることで6段変速を実現しています。
そのため、順番に変速していくには左右のシフターを組み合わせた操作が必要になります。慣れてしまえば操作できるんですが、やはり面倒です。
また、普段ブロンプトンに乗っていない家族などが乗る場合、この変速方法はなかなか理解してもらえません。
ALFINEではそういったことを一切考える必要がありません。右手でUp/Downするだけです。
このためにALFINE 8速化したようなものなので、当然満足です!
ALFINEはラチェット音がとても静か
ALFINE化してから気付いた意外なメリットが静かさです。
ペダルを止めて惰性で進んでいるときも、ラチェット音がほとんど気になりません。これは街中をゆっくり走るときに思った以上に快適でした。
ラチェット音が大きい自転車で歩行者の後ろをゆっくり走っていると、こちらにそのつもりがなくても、相手を後ろから急かしているような感じになることがあります。
ALFINEではその音がほとんどないため、静かにゆっくり走ることができます。性能表にはなかなか現れない部分ですが、普段使いでは気に入っているポイントの一つです。
外装多段化ではなく内装8速化を選んだ理由
ブロンプトンを多段化するのであれば、わざわざリアフレームを拡張してALFINEを入れなくても方法はあります。
現在はMiniMODsやH&Hなどのパーツを使った外装7速化という選択肢もあります。リアフレームまで加工する今回の方法と比べれば、その方が王道だと思います。
それでもALFINEを選んだのは、自分の中で外装多段化に対する不安が残っていたからです。
もちろん、外装多段化そのものに問題があるという意味ではありません。これは完全に自分自身の経験によるものです。
以前、P Lineで台湾環島をした際、後半に車体の不調でかなり苦労しました。

それでも当時の記憶が残っていて、今でもP Lineに乗っていると「またあの不調が出るのではないか」と少し気になってしまいます。
その後LOROさんでリフレッシュしてもらい、現在では新車のような快調さを取り戻しています。
そんなP Lineのリフレッシュ中に試乗させてもらったのが、BROMPTON G Lineでした。それまで自分の中で「内装変速」といえば、ブロンプトン純正の内装3速というイメージでした。
ところがG Lineに搭載されたALFINE 8速はまったくの別物。軽快でありながら滑らかに変速するフィーリングが非常に印象的でした。
その試乗をきっかけにALFINEへの興味が一気に高まり、今回の内装8速化へ進むことになりました。
ALFINE 8速化で感じたメリットとデメリット

実際にしばらく使ってみて感じたメリットは、何といっても変速の扱いやすさです。純正6速と近いギアレンジを維持しながら8段に細分化されたことで、そのときの速度や脚の状態に合わせたギアを選びやすくなりました。
そして、右手だけで1~8速を操作できるシンプルさ。さらにALFINE特有の滑らかなフィーリングと、ラチェット音の静かさも気に入っています。
一方でデメリットも明確です。
最大の問題は重量で、約1kgの増加は輪行時にはかなり大きな負担になります。
また、今回の方法ではリアフレームを約112mmから約125mmまで拡張しているため、簡単には純正状態へ戻せません。機械加工なども必要になるため、誰でも簡単にできるカスタムでもありません。
走行性能や使いやすさを取る代わりに、ブロンプトン本来の「小さく折りたたんで気軽に持ち運ぶ」という部分を多少犠牲にしたカスタムともいえます。
まとめ:ブロンプトンM6RのALFINE 8速化は大満足

リアフレームを加工してまで行ったALFINE 8速化ですが、結果としては大満足の仕上がりになりました。特に純正6速の左右シフターを組み合わせる変速から解放されたことが大きいです。
右手だけで1~8速まで直感的に操作でき、しかも以前とほぼ同じギアレンジを細かく使い分けられるので通勤や普段の街乗りでは非常に扱いやすくなりました。
その反面、完成重量は12.8kg。リアラックを撤去したにもかかわらずこの重量なので、輪行を中心に考えるなら決して良い方向のカスタムではありません。
また、リアフレームを加工する以上、気軽に純正へ戻すこともできません。そういう意味では、誰にでもおすすめできるカスタムではないと思います。
自分の場合は複数台のブロンプトンを所有しているので、それぞれの方向性を分けることができます。軽快さを楽しむ車体、輪行に使う車体、そして今回のように走行時の扱いやすさを重視した車体。そう考えると、ALFINE 8速仕様はかなり面白い一台になりました。
まだ通勤や近場でのライドが中心なので、次は10km以上のポタリングなどでも使い、長距離で8速化のメリットがどの程度感じられるのか試してみようと思います。


